「龍江」 (りゅうこう) は錦帯橋下流約400m、錦川が城山にぶつかって流れの向きを南西から南東に90度変える場所にできた淵です。
山が迫って昼間でも薄暗く、淵を見下ろすと青々とした水が悠々と流れています。また雨が降って川の水量が増すと、一転して渦を巻き、見つめていると吸い込まれそうに錯覚します。
明治時代ころまでは「吸江」または「汲江」と書いて「りゅうこう」と読んでいたようですが、いつの頃からか「龍江」と書くようになりました。
宇野千代は小説「おはん」で龍江を次のように描写しています。『龍江の崖つ淵へ抜けるまでの裏道は、昼も陽のささない山蔭でござりますのに』、『あのあたりは昼でも暗うござります。道をおほった大樹のあはひに、ただ一とこガス灯のともつてますのが、却って暗さをますよに思はれましてなア。』また登場人物には『ほんに、いつ見ても気味悪いとこや。』と言わせています。現に、大正時代に車道ができるまでは崖にごく狭い通路があっただけだそうで、実際ずいぶんと危険な場所だったのでしょう。
なお、2006年 (平成18年) の災害復旧工事で付近道路が拡幅されました。通行には便利になったものの、宇野千代が描写した薄暗い雰囲気は多少損なわれてしまいました。
車で訪れる場合、上河原駐車場か臨時駐車場より徒歩訪問をお勧めします。
2010-10-1 現在
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参考:「おはん」宇野千代著 新潮社、中國新聞 2004.3.12
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